USMLE ECFMG FAQ / Residency Match
USMLE ECFMG FAQ / Residency Match
もう15年以上前の話になってしまいますが、私がメディカルスクールを卒業してマッチ(Prelim・Peds NeuroのSan Francisco Match)に応募していた頃は、母校の殆どの科で、1位ランクのプログラムのディレクターなどに科の有名教授から直接電話が入っていたと聞いた気がします。
毎年、神経内科でしたら神経内科志望の学生全員が Department Chairの教授かResidency Program Directorの教授あたりに呼び出されて、マッチの意向を聞かれる、という流れです。そして、1位マッチとして宣言した先が実力上非現実的であったら、もちろん諭されます。現実的に手が届きそうな1位志望なら、「君、本当に1位にランクするんだよね」と確認されます。「Yes of course」というと、その1位志望の1カ所だけ、推薦の電話をしてもらえる、という感じだったと覚えています。
アメリカのメディカルスクールはレジデントを母校出身だけで固めるようなことはないので、メディカルスクールの○○科としては、「母校の志望学生をどの病院の○○科に送り出せたか」ということと、逆に「どこのいいメディカルスクールから自分の病院に優秀なレジデントを受け入れられるか」というせめぎ合いが重要になります。だから、出身大学の○○科と、1位にマッチするような病院の○○科との間には、情報共有によるwin-winが生じていたのだと思います。
インタビューでマッチ順位を聞くことは禁じ手だと思いますが、実際には色々な形で探られます。
さて、アンマッチが生じかねないようなプログラムは、1位マッチで確実に入ってもらってほしい、というのは分かりますが、アンマッチが絶対に生じないようなプログラムでも実を言うと、なるべく1位マッチでレジデントを固め、プログラムのカラーや意向に沿った多様性の豊かなレジデンシークラスを構成したいという意向があります。下位マッチに進めば進むほど、どういうレジデント構成になるかは、プログラムのコントロール外になります。なので、知り合いのメディカルスクールの先生などから、「彼/彼女は1位マッチの覚悟でお宅に応募しています」という情報を得られると、採択確率は上がるのです。
絶対に嘘をついてはいけません。1位マッチに出すといって、他のプログラムにマッチしてしまって1位ではなかったことが判明すると、推薦してくださった方にも自分にも自分の母校にも、中長期的に迷惑がかかります。
日本の医学部出身でそういうネットワークに完全に入り込めていない場合は、日本(やアメリカ)で、アメリカで臨床をしたことのある先生にトレーニングしてもらい、その先生の伝手のきく範囲で現実的なところに1位志望を定め、その先生にコネを活かしてもらえると、マッチ確率が高まるかと思います。
2025.03 文責 Kentaro 高垣(Review: Norimitsu 桑原)
マッチングにかけては推薦状が大事ですが、やはり「一番強力な推薦状」は何より「自分が直接知っていて信頼のおける方が強くプッシュしている推薦状」です。私自身、自分のところのレジデントやフェローが他の施設に応募している場合、そこの面接者が私の知人だと、その面接者から私の携帯に電話が来て「この候補者は実際はどんな感じ?」と聞いてきます。その逆もあります。
また、レジデント・フェローを修了して就職をする際には、採用側が候補者の前職のところにまず必ず電話して、その候補者のバックグラウンドを確認するのもアメリカでは一般的です。
そういった意味でも、医療の世界はとってもとっても狭いので、高垣先生のまさにおっしゃるように「ウソは絶対についてはいけない」というのはまさに至言です。
逆に、信頼のおける知人からの推薦状というのはいい意味で、強い追い風になります。
私は過去にアメリカのとある病院に就職面接しに行った際に、そこの部門トップから、
「君はすでに Dr. 〇〇から推薦状があるし、私も彼に電話してすでに確認した。今、君がここで Yes といえば私たちは君を雇用するが、どうする?」
と他に何も聞かれずに、開口一番に言われたこともあります。
信頼はとっても大事です。いくら論文や実歴があっても、私たちが結局一緒に働きたいのは、やはり何より「一緒に働きやすい人」です。
2025.03 文責 Norimitsu 桑原(Review: Kentaro 高垣)